イタリアの「人民の家」に思いを馳せて・・・

クリックしてください読書感想  「ボローニャ紀行」 井上ひさし・著

 地域を主体に人権確立をめざす運動を発展させようと念願している私にとって、イタリアの「人民の家」に関心がかつてからあった。しかし、直截的な書物には縁遠い状態が続いていた。そういうなかで、「ボローニャ紀行」に出会った。
 この本は、著者がミラノ空港に着いた途端に現金200万円と1万ドル、帰りの航空券の入ったテストーニのカバンを目にも留まらぬ早業で盗まれる話から始まる。日本の奥さんに電話、「イタリアを甘く見たわね」「これからは引き締まった顔でいることね」と言われる。思わず、井上氏の顔写真を思い浮かべてしまった。
 この本を読めば、まずはボローニャに行きたくなる。スパゲッティのなかでもミートソースが好きな私だが、発祥の地で食べたくなる。
 しかし、内容はそんなレベルではなく、住民が政治家に任せることなく自分たちが創意工夫をこらして住み良い街を創ってしまう、このことの素晴らしさにある。「社会的協同組合」(組合会社ともいう)を作って実現させていくというやり方が詳しく述べられている。

 ホームレスの人たちに使わなくなった公営バスの広い車庫を市役所が貸して、ボローニャ中から集まる廃品を修理して再び使えるようにする仕事、公共緑地の清掃、オフィスやアパートの清掃などを展開している。
 そういう精神と具体的行動が息づいているボローニャ。つい最近、国民生活白書の地域づくりのなかでも、ボローニャ・ボトル地区の「多世代の人が利用する施設が併設」を、地域力を向上させるとりくみとして取り上げていることを知った。
読めば、地域づくりに頭を寄せ合おうではないかと思わせる、かつ楽しい本であった。

                                         08.11.13 中島純男

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