黎明期のウイルス研究 -野口英世と同時代の研究者たちの苦闘

黎明期のウイルス研究黎明期のウイルス研究 -野口英世と同時代の研究者たちの苦闘」
◆鳥山重光/著 ◆177頁 ◆08.10.15第1刷
◆創風社 ◆定価¥2,100(本体¥2,000) ◆送料¥            注文


コメント:

 19世紀半以降にフランスのパスツールやドイツのコッホを中心に始まった微生物学や細菌学研究は,人類を微生物による病苦から救った。しかし,まもなく細菌の範疇からはみだした病原体,濾過性病原体,ウイルスの存在に遭遇することになる。この濾過性病原体の研究の舞台はヨーロッパから,アメリカに移り,折から始まった酵素化学研究の進展とともに,アメリカで急展開することになった。

 一方,わが国のウイルス研究は太平洋戦争をはさんで大幅に遅れをとった。しかし,戦後,海外研究者間の交流も盛んになって急速に遅れを取り戻し快復した。情報収集も研究設備も不足はない。といっても,わが国独自のウイルスやウイルス病の研究体制が定着したのだろうかと疑問はのこる。イネ科植物のウイルス病の研究を始めて30年になる著者が,自分が置かれていたウイルス研究分野を今初めて眺めた鳥瞰図でもある。第2部は,初期の濾過性ウイルス研究の実情を踏まえて,野口英世の業績を批判的に検討し,真の姿を見ようとしたものである。野口の研究業績に対して否定的な記事が多い中で,著者の‘反論’は強調しすぎて映るきらいがないではない。野口の業績を全面否定することへの警鐘である。神話化された野口英世に対する批判は許されるとしても,科学者としての野口英世から学び取るものはおおいはずである。野口英世の業績評価に対する1植物ウイルス研究者の一つの試みである。

目次:

   第1部 欧米と日本における黎明期のウイルス研究 
    I    ウイルスの最初の発見者
    II   アメリカにおけるタバコモザイク病の研究
    III  日本におけるタバコモザイク病の研究      
    IV  ウイルス研究とロックフェラー医学研究所   
    V   Stanleyのウイルス像,その哲学
    VI  川喜田愛郎のウイルス像,その‘ゆらぎ’
    VII 両極端のウイルスから始まったウイルス研究
    VIII 戦後復興と日本のウイルス研究
   
   第2部 野口英世とロックフェラー医学研究所   
    I  1900年代初めのアメリカの医科学
    II  野口英世にむけられた哀悼文
    III ポール・クラークが描いた野口英世
    IV 野口の原著論文とその研究業績の評価   
    V  ウイルスの培養と野口英世   
    VI  ポリオウイルス研究とフレクスナーの誤算
    VII  ウイルスの培養と野口英世
    VIII ポリオウイルス研究とフレクスナーの誤算
    IX  ウイルス培養と細菌学パラダイム
    X   野口英世に対する中傷はいつまで続くのか。

コメント募集中

Current day month ye@r *

サイト内検索 by Google